クレジットカード現金化での業者の逮捕劇

2011年に東京の現金化業者が初の摘発

カードの現金化をめぐっては、2011年8月に東京都台東区の業者が逮捕されました。

これが、カードの現金化業者の初の摘発とされています。直接の容疑は「出資法違反」および「貸金業法違反」でした。

警視庁ではクレジットカードを現金化する業者が、貸金業に相当すると判断し、逮捕に踏み切りました。その後、懲役3年執行猶予5年の有罪判決が確定しました。

 

ここで焦点となるのは「出資法」と「貸金業法」です。2つの法律を見ていきましょう。

 

【出資法】

  • 制定:1954年(昭29)
  • 正式な題名:出資の受け入れ、預り金および金利等の取り締まりに関する法律
  • 内容:貸金業者などを規制することが目的で、出資金の受け入れ、高金利などを取り締まる
  • 改正:2010年に出資法の上限金利が20%に引き下げられ、「グレーゾーン金利」を撤廃

 

【貸金業法】

  • 制定:1983年(昭58)。当時の名称は貸金業の規制等に関する法律
  • 正式な題名:2007年から貸金業法
  • 内容:貸金業を営む者の業務の適切な運営を確保することなど
  • 改正:2006年に参入に必要な純資産を個人300万円→2,000万円→5,000万円に段階的に引き上げ

出資法や貸金業法の法改正は、いわゆるサラ金(現消費者金融)と呼ばれていた時代に、高金利で融資することが社会問題となった背景もありました。多重債務に陥る人も多く、法改正に踏み切りました。

この2つの法律は、かなり厳格に適用されています。

 

現金化業者は出資法に抵触する可能性も出てきた

2011年に逮捕された現金化業者は、「お金を貸していないのに、なぜ逮捕されたのか」と思う方も少なくありません。

現金化業者は、お金を「貸す」のではなく「買い取る」わけですから。

このあいまいな解釈があり、業者は貸金業法に基づく登録をせずに「無登録」で業務を行うことができました。

 

現状では全ての現金化業者を摘発するのが困難

2011年の現金化業者初の摘発後、2012年4月までに5人の現金化業者が摘発されています。出資法違反(超高金利)および貸金業法違反(無登録営業)が容疑の内容です。その後、現金化業者の摘発関連の報道は見かけません。もちろん、報道されていないというだけで、摘発や逮捕者が出ていないというわけではありません。

 

なぜ、現金化業者に当局が本腰を入れた対応をしないか、疑問を持ちますよね。

それは、実態を把握できない数に上るからです。

貸金業法の大きな改正が2006年と2010年に行われ、融資基準の厳格化によって、多くの業者が廃業しました。

これらの業者がクレジットカードの現金化という新たなモデルをつくり上げ、大量に流れ込んできました。

 

現在、クレジットカードのショッピング枠を現金化することに対し、金融庁や消費者庁が防止を呼び掛けています。

ただ、現状では厳格に出資法や貸金業法を適用していくかは、不透明な部分もあります。

現実的には、多くの生活困窮者が利用しているという実態もあり、今後の対応に慎重になっているとも言えます。

法改正についても、現状では目に見える動きはありません。

 

まとめ

現在でも「出資法」と「貸金業法」が適用されるかは、グレーゾーンでもあります。

もちろん、摘発された業者に有罪判決が出ているので、司法判断では「クロ」です。

しかし、現状では法規制があいまいで、摘発の基準は暴利、詐欺的行為などの悪質な業者に限って摘発を受けることが多い傾向にあります。

 

一方の利用者ですが、明確に「詐欺罪」や「横領罪」で立件するのは、現行法では困難です。

明白な転売行為の確証がつかめないからです。

カードで商品を購入して、業者に売っても、自己所有をしていれば明らかに違法とは言えないからです。

現状ではカード会社の利用規約で現金化を制限するしか方法がありません。

 

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