現代社会で生活していく上では、クレジットカードは非常に便利なものでありほぼ必需品と言っても差し支えありません。
人によっては付帯保険や付帯サービスを活用するために複数枚持ちしている人もいるぐらいです。
しかし、個人民事再生や債務整理を行った後にはクレジットカードが作れなくなるという風に言われています。
なぜそのようなことが言われているのか、そして本当に個人民事再生や債務整理を行った後にはクレジットカードが作れないのかということについて、説明していきます。
クレジットカードの審査で重要となる「属性」と「信用情報」
説明をさせていただく前に、前提としてクレジットカードの審査ではどのようなことが行われてるいるのかということについて触れておきましょう。
クレジットカードの審査では主に属性と信用情報の2つがチェックされます。
属性とは申し込み時にカード会社に申告した、年齢・職業・年収・雇用形態等のことです。
これらの属性をスコアリングと呼ばれる方法を用いて、点数付けしていきこの段階で一定の点数に満たなければその場で審査落ちとなってしまいます。
ちなみに、このスコアリングの点数付けの基準は各カード会社で異なっています。
そのため同じ人が申し込みを行ってもカードAの審査には通ったのにカードBの審査には落ちた、というようなことが起こり得るわけです。
そして、スコアリングを通過した人は信用情報を用いた審査を行われます。
信用情報とは信用情報機関に登録されている情報のことで、個人のこれまでの金融取引の履歴が記録されています。
例えば「カードローンで50万円借り入れて、3年間で返済し終えた」「自動車ローンを利用しているが、ここ2ヵ月間返済が滞っている」というようなことですね。
この信用情報に憂慮すべき事項がなければ、無事クレジットカードの審査通過となります。
今から説明していく、個人民事再生や債務整理を行った後のクレジットカードの作成に関しては、この信用情報が大きく関わることになります。
個人民事再生や債務整理の記録は信用情報に登録される
個人民事再生等に代表される債務整理とは、借金を返済できない場合に用いられる手続きのことで、将来発生する利息をカットしたり元本そのものをカットしたりしてもらうことが可能です。
中には全ての債務を放棄できる、自己破産という手続きもあります(もちろん多大なるデメリットは付きまといますが)。
そしてこれらの手続きは全て金融取引に関わることなので、信用情報機関に登録されてしまいます。
一般的に、信用情報機関に「異動情報」と呼ばれるマイナスの情報が登録されることは「ブラックリストに載る」という風に呼ばれます。
信用情報から債務整理の情報が消えるまではクレジットカードの作成は不可能
ブラックリスト、という単語が出てきたことで何となく感づいた方もいらっしゃるかもしれませんね。
クレジットカードの審査時に、申し込み者の信用情報を確認して異動情報が発見された場合、審査担当の人はどのように思うでしょうか。
「過去に債務の返済ができずに債務整理を行っている?ということはクレジットカードの返済ができるかどうかも怪しいな」と思うのが当然でしょう。
つまり、信用情報に債務整理の情報が登録されている間はクレジットカードの作成を行うことはできないのです。
また、クレジットカードではないですが同様に金融取引の一種である各種ローンの利用も、債務整理の情報が消えるまではほぼ利用することはできません(中小の消費者金融であれば利用できる可能性はあります)。
正しく知っておきたい債務整理の情報が消えるまでの期間
<p>そこで気になるのは、信用情報機関から債務整理の情報が消えるのはいつかということです。
よく言われているのは「債務整理をしたら5年間はクレジットカードを作れない」ということですが、
この5年間というのは「債務整理の手続きを行ってから5年間」なのか「債務整理をして、債務の返済を全て終えてから5年間」なのかどちらなのでしょうか。
これに関してはなんともあやふやな答えとなってしまいますが「どちらも正解」というのが正しいでしょう。
少し噛み砕いて解説しましょう。
信用情報機関が債務整理等の情報を保持している期間は「和解成立日・認可決定から5年間」というのが厳密な答えです。
それでは先ほどの話だと前者が正しいのではという気もしますが、ことはそう簡単に運びません。
そもそも債務整理の手続きを行うということは、債務の返済にかなり困窮している状態であるということです。
そのような人の場合、債務整理を行って利息や元本をカットしてもなお、期日通りの返済が難しいということが多いのです。
では、債務整理中に借金の返済を遅延してしまった場合はどうなるのでしょうか。
これも当然信用情報に登録すべき情報には変わりありませんから、異動情報に新たに返済遅延の情報が加わることになってしまいます。
すると、その新しい異動情報が消えるまでにまたさらに5年間が必要になるわけです。
債務整理を行って4年11ヵ月の時点で返済を遅延してしまうと、異動情報の抹消が目前だったのにも関わらずそこからまたさらに5年間は異動情報が消えないということになるわけです。
これは極端な話ですが、「債務整理の手続きを行ってから5年間」で異動情報が消えるというのは、その間に借金の返済を一度も遅延することなく返済できていた場合に限られるのです。
なので、途中で返済を遅延してしまった人の場合は、「債務を全て返済し終えてから5年間」というのが確実に異動情報が消えている期間であるため、前述のような2種類の「5年間」が存在することになるんですね。
自分の信用情報は自分で確認することもできる
では仮に、債務整理を行っている最中に返済を遅延したことがあるとしましょう。
すると、その時点から5年が経たないと新たにクレジットカードを作ることはできませんが、自分が何年何月に返済を遅延したかということをはっきり覚えているものでしょうか?
万が一ギリギリ異動情報が残っているタイミングで「もうそろそろ大丈夫だろう」と思ってクレジットカードに申し込んでしまうと、当然審査落ちになる上に、今度は「クレジットカード審査落ち」という情報が信用情報に登録されることになります。
これはもう踏んだり蹴ったりですよね。
そこで、自分の信用情報を確認することができると非常に便利なのですが、実は信用情報は簡単に確認することが可能なんです。
その方法とは信用情報機関に情報の照会申請を出すだけです。
インターネット経由・郵送・窓口の3つの方法で申し込みを行うことができます。
異動情報が消えているかどうか不安な場合は、上記のいずれかの方法を用いてあらかじめ自身の信用情報を確認しておくのが無難でしょう。
債務整理明けのクレジットカード作成には注意が必要?
そして、信用情報上のキズもなくなっていざ改めてクレジットカードに申し込む場合でも、気を付けておかなければならないことがあります。
先ほど異動情報が登録されることを「ブラックリストに載る」というように表現しましたが、実はこれと対になる表現で信用情報上に一切の履歴がないことを「ホワイト」と言います。
このホワイトは年齢が若い人であれば「まだクレジットカードを作ったりローンの利用がないんだろうな」というように解釈してくれますが、20代後半以降の人がホワイトだった場合には事情が変わってきます。
既にクレジットカードや何らかのローンを利用していてもいい年齢にも関わらず、信用情報上に一切の履歴がないことには何かしらの理由があるはずです。
そして、その理由として最も妥当なのは「債務整理明け」だということです。債務整理中は金融取引が行えないため、債務整理明けの人の信用情報はホワイトの状態になっているからです。
そしてこのホワイトは「スーパーホワイト」と呼ばれ、年齢が若い人のホワイトとは違いクレジットカード会社からすれば警戒すべきホワイトなのです。
「スーパーホワイト=過去に債務整理を行わざるを得ない状況まで陥ってしまった人」ということですから、一般的にカード会社の人はスーパーホワイトの人に対しての審査は厳しくなる傾向にあります。
債務整理後でも審査通過しやすいおススメクレジットカード
そこで、債務整理明けのスーパーホワイトの人の場合は、申し込むクレジットカードをよく選ぶ必要があります。
クレジットカードにはいくつかの系統があり、審査が厳しい順に
銀行系・独立系・信販系・流通系・消費者金融系となっています。
債務整理後は審査が緩めである消費者金融系や流通系(特に消費者金融系)のカードを選ぶようにしましょう。
特にオススメなのは、消費者金融系のACマスターカードです。
ACマスターカードは発行母体が消費者金融のアコムなので、審査は非常に緩めになっています。
流通系のカードの中ではイオンカードが比較的審査が緩めのカードとしてオススメとなっています。
また、分類上は信販系のカードに分類されますが楽天カードも審査に通過しやすいカードとなっています。
債務整理後にはこれらのカードを選んで申し込むようにするといいでしょう。
特に、カード入会者募集キャンペーンを行っているタイミングは審査通過のハードルも下げられていることが多いので、うまくそのキャンペーン期間中に申し込みが行えるとベターです。
以上、個人民事再生や債務整理を行った後のクレジットカードの作成事情を説明させていただきました。
債務整理を行った後は最低5年間は待たなければ新たにクレジットカードを作成することはできません。
冒頭でも述べたように、クレジットカードの有無は生活の利便性を大きく左右します。
信用情報の取り扱いなどについて正しく認識した上で、期間が延びてしまうことのないように返済をしっかり行っていく必要があります。
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