互いの限度額が相殺する仕組みになっている
一般社団法人日本クレジット協会によると、クレジットカードの発行枚数は2億6722万枚(2014年度末現在)。
多種多様のクレジットカードが発行されていますが、どのカードにも共通しているのが「ショッピング枠」と「キャッシング枠」の関係性です。
母体はショッピング枠で、この利用額限度内で子のショッピング枠が決まってくるのです。
ショッピング枠30万円、キャッシング枠20万円のカードを例に具体例を挙げます。
- ショッピングで20万円使用⇔キャッシングで10万円引き出す=可能
- ショッピングで10万円使用⇔キャッシングで20万円引き出す=可能
- ショッピングで20万円使用→キャッシングで20万円引き出す=不可能
- ショッピングで30万円使用→キャッシング枠0円
※⇔は使用する順番を問わず。→は左から右の順で使用する場合
ショッピング枠とキャッシング枠は独立しているのではなく、母体が30万円のショッピング枠の中に20万円のキャッシング枠が入る形になります。
両枠の合算額が30万円以内ということになります。
ショッピング枠が限度額に達したら、自動的にキャッシング枠が0になるのです。
つまりキャッシング枠の20万円の限度額を使えるのは、10万円以内のショッピングに限られるのです。
ショッピング枠とキャッシング枠の詳細について
一般のクレジットカードには、必ずショッピング枠とキャッシング枠の限度額が決められています。
社会人で一般カードに初めて入会した場合、ショッピング枠が10万~30万円の範囲で設定されることが通常です。
キャッシング枠になると、さらに限度額が下がって0~10万円ほどになります。
どのクレジットカードも同じで、キャッシングの限度額が低めに設定されています。金利が高く、利用頻度も低いためです。
ショッピング枠とキャッシング枠は、実績とともに増額される。
クレジットヒストリー(利用実績)に延滞などの事故がなく、実績を積み重ねていけば、最初の更新時期に増額されるケースがほとんどです。
増額はそれぞれ10万円単位で上がっていくのが基本ですが、年収や勤務先などの個人属性の高い人は数十万円単位で上がっていきます。
この他、海外旅行などでカードを使う機会が増えれば、カード会社に連絡すると、一時的に利用限度額を上げてくれます。
出張などが多くなってカードを使う機会が増えた場合など、臨機応変に限度額を上げてくれます。
ただ、繰り返しますが、増額は個人の信用が第一になります。
カードの利用実績が良好な会員に限ります。延滞などの事故歴があると、増額どころか、最悪の場合には契約を解除されることもあります。
ショッピング枠 | キャッシング枠 | |
---|---|---|
デビューカード(学生用も含む) | 10万~30万円 | ~10万円 |
一般カード | 10万~100万円 | 0~30万円 |
ゴールドカード | 50万~200万円 | 10万~50万円 |
学生専用カードは、キャッシング枠がありません。
社会人でも初めてのカード入会時には、キャッシング枠がないのが一般的です。
ショッピング枠、キャッシング枠とも利用限度額の減額を申請することもできます。
減額申請によって、クレジットヒストリーに傷がつくことはありません。むしろ、計画的に使用しているという印象をカード会社に与えるでしょう。
同一ブランドのカードは複数枚保持しても与信枠が同じ
日本人のクレジットカードの平均所有枚数は、1人2.6枚になります。
たいていの人が3枚ほど持っている計算になります。
ここでちょっとした疑問が沸きます。カードをたくさん持てば、ショッピング枠とキャッシング枠が増えるのでは、と思う人も多いでしょう。
1枚のカードでクレジットヒストリーをつくって、限度額を上げるのは時間もかかりますから。
答えは正解でもあるし、間違いでもあります。どういうことなのか見ていきます。
・M銀行のVISAカード(限度額100万円)+D百貨店のVISAカード(同80万円)
・J百貨店のJCBカード(限度額100万円)+D百貨店のVISAカード(同80万円)
この場合、1.のケースでは2枚のカードを保持しても、利用限度額が合わせて100万円です。
カードのブランドが同じVISAなので、M銀行の最高の与信枠に合わせる形になります。2.の場合はJCBとVISAの別のカードブランドなので、100万円+80万円=180万円まで利用できます。
複数のカードを持つ場合の基本は、カードブランドを分けて持つことになります。
D百貨店のカードの年会費が無料で、ポイントサービスの付加価値があるなどの戦略的な場合は除きます。
もし、お手持ちのカードで重複するブランドがあったら、一方を解約するなどの見直しをおススメします。
メーンとサブのカードは、別ブランドにした方が何かと重宝します。
クレジットカードは、ショッピング枠とキャッシング枠の2つから成り立つ決済システムです。
きちんと理解しておかないと、肝心なときにショッピング枠に余裕があるのに使えない、ということが起きます。
重要な商談を決める得意先の接待などで、クレジットカードか使えなければ、最悪の事態になります。
もちろん、正しい知識があれば、クレジットカードは便利で心強い味方になります。
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